歴史紛争和解事典

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運営者挨拶

「東アジア歴史紛争和解事典」は、東アジアにおける歴史紛争がいかにして発生してきたのか、そしていかなる試みが国民的権利や被害者の人権を中核とする「正義」回復の試みやその後の和解実現のために行われてきたのかを焦点として、歴史紛争に関わる事実の発生した時代や地域別に項目を選定して、最新の研究成果にもとづいて一般向けにわかりやすく発信していくことを目的に構想されています。

さらに、歴史的事実に意味を与えている基本的概念自体をも意識し検証できるように、「国民」、「ナショナリズム」そして「関係」に関する概念項目をも設けています。つまり、本事典で取り上げる項目は、過去が何らかの形で現代の政治的紛争の焦点となり、激しい国民的感情の内外における衝突と連関して言及される事項(事件、集団、団体、個人)や、その底流をなす政治的概念です。具体的な項目は、そのカテゴリーとともにこの文章末をご覧ください。

このように、本事典は、歴史の事実そのものの事典ではなく、歴史をめぐる紛争が発生してきたプロセス自体を検証することをめざしています。また、歴史をめぐっていかなる紛争が発生しているのかについて、基本となる事実の選定やその認識自体の対立の構造、そして和解に向けた努力とその可能性をも示せるように努めています。

執筆者は、第一線で活躍する研究者・専門家(本プロジェクトの研究分担者・研究協力者をはじめ、本事典の趣旨に賛同いただいた各分野の専門家や若手研究者)です。平易な解説を基本としながら、アジア歴史資料センター等の一次資料へのリンクを豊富に盛り込み、ウェブサイト上で発信することを前提としています。私たちは、東アジア歴史紛争和解事典が、ネット上での歴史をめぐる議論に対しレファレンスとなり得るように、このウェブ事典をじっくりと育てていきたいと考えています。それによって新しい学問領域としての和解学の知的基盤を築くことをめざします。本プロジェクトの継続とともに、この事典はますます拡充されていく予定です。今後の方向性について、建設的な感想やご意見をお寄せくだされば幸いです。